特別展 京のかたな 京都国立博物館

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                 特別展 京のかたな 匠のわざと雅のこころ  京都国立博物館  25日まで


突然ですが あなたは日本刀を持ったことがありますか・・もちろん 模造刀やおもちゃの刀ではなく 本物の そう 人を斬るやつです 私が昔 堺のある刃物店で 持たせてもらった刀は鎌倉~室町時代初め頃に作られた太刀でした 国宝とかじゃありませんが 一振り何百万円とするものです 初めて持った時の感想は 重い・・でしたもちろん 鉄でできているわけですから(笑) 当時の武士たちは 戦場でポニーに毛の生えた程度の馬に跨り 鎧を着て よくこれを振り回したものだとつくづく感心しました もちろん刃そのものに触れることは出来ませんが 触ればスーッと音もなく骨身を深く切裂く・・・そう思える凄味がありました 店主が言うにはこの刀は二つ胴だそうです 本当に人を斬ったかはわかりませんが 試し斬りはしている・・ そう思ってもう一度 鈍く光る刀刃を見ると 恐ろしくなったものでした・・・
 
・・・ということで 京都国立博物館の京のかたな展に行って来ました


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      本日の京都七条界隈は 陽が射していますが 冬の気配が濃厚 肌寒い気候です



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        京博に着きました 開館30分前ですが すでにこの行列 200人ほど並んでいます 




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      招待券を持っているので 人だかりのチケット売り場に並ばず 開館と同時に 新館へ向かいます




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       2機あるエレベーターで3階まで観客を運ぶので 15分ほど待って 展示会場へ・・


さて 京博では都度 刀剣に関する小規模な展覧会を行っておりますが 今回の展覧会は‥ 現存する京都=山城系鍛冶の作品のうち 国宝17件(山城系国宝指定は全18件 個人蔵の1件は非公開)と 著名刀工の代表作を中心に展示し 平安時代から平成にいたる山城鍛冶の技術系譜と 刀剣文化に与えた影響を探ります‥ ということです 国宝19件を含む約200振りの刀剣が一堂に会しているのも圧巻です これほどの展覧会は以前東博であった 日本のかたな展(約350振り)以来で 京博では本格的な特別展覧会です 



で・・とても すべてを紹介することは出来ません 私自身 刀剣について その来歴・伝説や歴史背景などには非常に関心がありますが 刀剣そのものの 美的・価値的鑑識眼がまったくないので・・悪しからず(笑)


その前に サクッと 予備知識を

山城系鍛冶とは・・・言うまでもなく京周辺特に 三条粟田口を中心に活躍した刀鍛冶集団 その始祖は平安時代の三条派の三条小鍛冶宗近 その流れをくむ五条派 左近将監国綱などの初期粟田口派で 鎌倉時代以前の鍛冶集団の刀剣は古京物と呼ばれる  
鎌倉時代初期~中期には 粟田口国家が開祖の粟田口派 国家の子供たちは後鳥羽院御番鍛冶となったり 名工新藤五国光 藤四郎吉光が活躍  来国吉を開祖の来派 来国俊が活躍  光包は中堂来として活躍 そして定利 定吉の綾小路派 
鎌倉末期~南北朝には 来国俊の子 了戒の了戒派 宮本武蔵の佩刀の一つが初代了戒ですね 長谷部国重が開祖の長谷部派  そしてあの正宗の達磨派 「達磨」の二字銘を切るというが 現存する正宗の刀剣には達磨の文字はない 正宗自身謎の多い刀工ですからね 室町時代中期以降は京が戦乱に巻き込まれることが多くなり鍛冶集団もこの地を離れてしまいます 

太刀と刀の違い・・ 太刀と刀も同じ日本刀で 明確な違いはない 太刀は古刀(平安時代~慶長元年)においては刃長が(約60cm)以上で 太刀緒で腰から吊り下げる 博物館などで展示する時は 刃を下向きにして展示する 一方 刀は 打ち刀とも呼び 実践で使いやすいように 刃を上向きにして帯の間に差しています 私たちが侍の刀と言えばこの打ち刀が一般的ですね 展示する時は刃を上向きにします 





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                  名物 三日月宗近  10~12世紀? 国宝    東博蔵 

今回の展示会の目玉です 知る人ぞ知る 天下五剣の一つです この太刀から 京のかたなが始まったと言えるので 最初の展示会場のど真ん中にありました 若い女性やおばさんたちが群がっておりました アニメの影響らしいですが・・・ さて 三日月宗近は 平安時代の刀工 三条小鍛冶宗近の作と伝えられているもので 三条宗近は 伯耆の安綱 備前の友成と共に平安期を代表する刀工の一人です 三日月の号の由来は 刀身に三日月形の打除けという刃文がみられるからという 伝来についても確かなことはわからない 秀吉から寧々に そして徳川秀忠へその後 徳川将軍家へ代々引き継がれ 個人蔵を経て 1992年に東博へ寄贈されました  東博へ寄贈されるまでは 中々見ることのできない名刀でしたので 今回じっくりと 鑑賞させていただきました  人によって評価が異なるのですが 天下五剣というのは 一般的に童子切安綱 鬼丸国綱 三日月宗近 大典太光世 数珠丸恒次の5振りです 





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                    名物 後藤藤四郎   13世紀  国宝  徳川美術館蔵

山城国粟田口派 藤四郎吉光の作です 実に凛とした出来栄えの短剣です これくらいの業物でしたら私も欲しいです(笑) 号の由来は江戸幕府の金座の御金改役 初代後藤庄三郎光次(後藤四郎兵衛家の分家)が所持していたことに由来 後に老中土井大炊守利勝の所蔵となり 徳川家光に献上された さらに尾張徳川家へ拝領され 今日に至っている(尾張黎明会所蔵) これもまた 後藤庄三郎以前の来歴がわからない 江戸時代になってから これは名物だ と享保の古刀名物帳に載ったので 足利将軍家や信長や秀吉の目を逃れていたのかもしれませんね・・    




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                   名物 骨喰藤四郎 13世紀  重文  豊国神社蔵

これも 藤四郎吉光の作と伝わる たいへん有名な刀ですが・・最初に作られた時は 薙刀だったのを戦国時代頃に 磨り上げて刀にしたといういわゆる 薙刀直し刀です もうこの時点で吉光の作かよ・・と疑問がつくのですが・・これまた来歴が謎の多い刀です 足利尊氏が九州に下ったおりに 大友家から献上されたという その時はまだ薙刀だったが すでに 戯れに切るまね致すにも先の者の骨を砕き死する という骨喰の号が付いていた 足利将軍家に伝わり 刀に直されている その後 •永禄8年(1565)二条御所で13代将軍足利義輝を攻め殺した松永久秀が骨喰を奪うが 大友宗麟が松永久秀に返還を求めた そして大友家から秀吉へ献上され 秀吉から秀頼へ 大坂の陣で秀頼から木村重成へ拝領された 重成は骨喰を持ったまま?戦死したが なぜか本阿弥光室へ渡り 家康に献上される  明暦の大火(1657年)で焼身となり修復する 後 紀伊徳川家へ明治時代初めに徳川本家へ戻されたが徳川家達が 再興された豊国神社へ奉納 今に至る 諸説ありますがざっとこんなもんです なぜ最初に大友家が持っていたのかよくわかりません 頼朝から拝領されたと大友家は言ってるけど それだとまだ吉光は生まれていないよね  





閑話休題  この展示会は刀剣だけではありません
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                   平治物語絵巻 六波羅行幸巻  13世紀  国宝   東博蔵                      


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                       騎馬武者像  14世紀  重文  京博蔵

私らの 歴史の教科書には 足利尊氏となっていましたが どうも違うらしいということで 上の花押が義詮のものなので 高師直かその息子の師詮じゃないかと・・・一体 誰なんですかね 




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        金象嵌銘 長谷部国重本阿(花押)/黒田筑前守  14世紀  国宝 福岡市博物館蔵      

長谷部国重の作 あの有名な織田信長の愛刀 名物 へし切長谷部です 号の由来は 信長の前で粗相をした観内という茶坊主を 逃げ込んだ膳棚ごと圧し切った凄い切れ味の刀ということです 信長が実際に手に持ち 人を斬り殺したというのを想像しながら この刀を眺めると 気のせいか刃文が動いているように見えてきました
さて この刀の伝来もよくわかりません どういう経路で信長の手に入ったか・・後に秀吉に拝領され その後
黒田長政へ黒田家家宝として伝わり 昭和53年に黒田家より福岡市へ寄進ということですが 黒田家の伝承では信長から 直接黒田如水が拝領したということになっています 




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               太刀 銘□忠(号 名物膝丸・薄緑) 13世紀?  重文  大覚寺蔵
   
さてさて 山城伝刀工とは関係がないのですが 京ゆかりの刀剣として あの北野天満宮の鬼切・髭切と同時展示(10月16~28日まで)されていました  鬼切・髭切と膝丸・薄緑の2振りの太刀は 源満仲が作らせたと伝わる 源氏重代の宝刀です ですがその来歴はまったくの謎です この展示されている大覚寺所蔵の太刀が 源氏の宝刀膝丸かどうかわからないというのが現状です □忠・・・□は読めない と銘が切られていますが 満仲が作らせたという刀工の中には名前がありません この刀は膝丸・蜘蛛切丸・吼丸・薄緑と所有者が変わるたびに刀の呼び方が変わります 伝来は 源満仲→源頼光→源為義→熊野別当→源義経→箱根権現→曽我兄弟→源頼朝→不明→大覚寺?というわけです 鬼切と同様に他にも 膝丸・薄緑と称する太刀が現存しております




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              たっぷりと 国宝 重文級の刀剣を鑑賞して 外へ出ると




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        旧館(明治古都館)で何やらやっておりました 久しぶりに旧館に入ってみると・・・



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         例のあの刀剣擬人化アニメのコラボ企画でした 若い女性が・・・  




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骨喰藤四郎の復元模造刀(宮入法廣 制作)も展示してありました よく出来ていました 売物だとしたらいくらぐらの値段なんでしょうね 気になります




                                                ということで  おわり